算数や数学で途中の式や図を書かない生徒がいる。
そんな生徒になぜ書かないのかを問うと、たいていこんな答えが返ってくる。
「めんどうくさい」
「書かなくてもできる」
確かに途中の式や図を書かずに解けるレベルの問題ならまだいい。
しかし学年が上がってくると、何から手を付けていいのかわからない問題に直面することがある。そんなとき、「めんどうくさい」と言っている生徒のほとんどは、考えることを放棄してあきらめてしまうのである。
目の前に難問を突き付けられたとき、どうすればいいのか?
数学の場合、まず問題の内容をよく読み取ることが必要である。そして今わかっていることを図にして書き出していく。定規やコンパスを使って正確に書く必要はない。
大事なのは、目の前にある漠然としたものをとにかく書き出して、「見える化」することである。
図を書くことで頭の中も整理されて、対処法が見えてくることも多い。数学のできる人間はこのことをよくわかっているので、できる人ほど図をよく書く。
ここまで読んで気が付いた方もいるだろう。つまり、数学の問題を解くということは、社会に出てから直面する問題を解決していくことと同じなのである。
目の前に解決すべき問題がたくさんある場合、仕事ができる人間はまずそれを1つ1つ書き出して、全体像を把握する。そして個々の問題に優先順位をつけて、1つずつ順に解決していく。そこには今までに培ってきた経験や技術が必要になる。数学に例えれば、積み重ねてきた計算力や覚えた公式を駆使するということだ。
こうして問題解決を繰り返すことで、仕事ができる人間に成長していくのである。
数学で難問が解けたときは、他の教科では味わえない満足感を感じることがある。これは社会に出てから仕事をやり遂げた達成感に通じるものがあると私は思う。
数学ができる生徒になるために、いや、社会に出てから仕事ができる大人になるために、図を書くことを習慣づけておきたいものである。
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