できることなら子どもには学習面で苦労せず、勉強ができる子に育ってほしい。
このような思いを持つ親は多い。勉強が苦手になると、つらい思いをするのは本人だけではない。周りの大人たちも何かと苦労を強いられることがある。
私は学習塾で仕事を始めてからこれまで、「勉強が得意な子と苦手な子の差は何だろうか」を常に考え続けてきた。
学校の授業についていけず、塾を頼ってくる保護者と出会うたびに、「躓く前に家庭でできることはなかったのか」と考えさせられた。勉強が得意になるか苦手になるかは、もちろん先天的な要素はある。しかし、幼いころからの環境によってもかなり違ってくるのではないだろうか。そんな思いを抱きながら多くの子どもたちと接しているうちに、勉強が得意な子には共通するある力が備わっていることに気付いた。
それが「想像力」である。
想像力が豊かな子どもに育てば、少なくとも小学校のレベルで勉強に躓くことはない。日常生活を少し見直すことで、想像力の豊かな子に育つ可能性は高まる。そのために、家庭でもできることをいくつか紹介したい。
(その1) テレビ(動画)、ゲーム(映像が動くもの)を制限し、ラジオをつける
テレビや動画などの映像は、情報を次から次に視覚で訴えかけてくるため、自ら考えることをしなくなり、思考力が停止する。身動きもせず、口を開けたままテレビを見ている子どもをよく見かけるが、まさに思考力停止状態に陥っていると言っていい。大人でもついついテレビや動画に見入ってしまうことがあるが、それは完全に映像の罠にハマっている状態だと言える。
一方でラジオは音声だけで情報を提供するので、場面を想像するためには自らの想像力を補ってやらなければならない。テレビや動画は手が止まるが、ラジオは聞きながら作業ができる点においても効率的である。一日中同じ放送局をかけたままにしておくと、天気やニュースも定期的に放送されるので、自ら動かなくても生活に必要な情報は勝手に届けてくれるのも便利である。ラジオで流れたワードをきっかけに親子で会話をする。知らない言葉は辞書で調べる。
机に向かっている時だけが勉強ではない。普段の日常会話を勉強に結びつける習慣が大切である。
子どもの生活習慣を見直すには、まず大人からではないだろうか。
テレビ中心の生活をされているご家庭は、一度ラジオに変えてみてはどうだろう。最初は慣れないかもしれないが、とにかく1週間続けてみる。そうすれば、たまにつけるテレビの音声がうるさいと感じられるようになるかもしれない。
テレビや動画に頼らない生活習慣が身に付けば、想像力の豊かな子へ一歩前進することになるだろう。
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