息子が通う高校で生徒会長の選挙が近々あるらしい。
ということが、会長に立候補している生徒の父親の話で分かった。
その父親が言うには、
「息子は生徒会長になって学校をよくしたいといつも言っている」
「朝から校門の前に立って登校してくる生徒たちにあいさつし、自分のやりたいことをアピールしている」
そんな父親の熱い思いを聞いたのは飲み会の席。そもそもその父親とは前からの知り合いでもなく、その日の飲み会(息子の高校では「父親の会」なるものが存在し、年に数回飲み会が開催されている)でたまたま近くの席にいた初対面の人である。そんな父親の熱意を聞いているうちに、是非応援したいという衝動にかられ、
「今度の生徒会長には〇〇君に入れてあげて」
と、その場で息子にLINEをした。
帰宅すると、どうせ酒の席で話が盛り上がってLINEをしてきたのだろうと事情を察している冷めた息子に対し、今度は私が熱く語り始めた。
「〇〇君の熱意は父親を動かした」
「熱意だけではあかん。それをどれだけ人に伝えて、人がそれを感じ取ってくれるかや」
「発信しないと何も伝わらん」
「これで〇〇君は、周りにいる大人たちの応援も取り付けた」
「自分の思いは秘めているだけでは意味がない。それを言葉にして相手に伝えることで、みんなが自分を応援する状況を作り出すことがある」
酔っぱらいの戯言(たわごと)と思いながらも真剣に聞いている(フリをしていた?)息子だったが、果たして何かを感じ取ってくれたのだろうか…。
それはさておき数日後、〇〇君は無事生徒会長に当選した。 あの時の父親連中の中には、自分の息子のことのように喜んだ人が、他にも数名いるはずである。
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